長谷川ピアノ調律事務所 | 日記 | フジコ・ヘミングさんとベヒシュタイン

ピアノ調律とは 通り一辺倒なものではなく 演奏者の好みや希望に合わせて 初めて完成するものです

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長谷川ピアノ調律事務所 の日記

フジコ・ヘミングさんとベヒシュタイン

2022.05.22

最初、そのお電話を頂いた時は一瞬信じられませんでした。
フジコ・ヘミングさんのご実家のピアノ?
しかもベヒシュタイン? の、しかもアップライト?
フジコ・ヘミングさんは私の大好きなピアニストの一人。
スタインウェイやベーゼンドルファーに比べて触れる機会の少ないベヒシュタイン。
これは もう楽しみで仕方ありません。
調律ご依頼を頂いてから当日まで、ドキドキワクワクが止まりませんでした。
ベヒシュタインと言えば、リストやドビュッシーが愛用していた事でも有名なドイツのピアノメーカーです。
こちらのアップライトは「Concert8」という機種で、総アグラフの贅沢な作りをしています。その音色は、輪郭のはっきりしたアタックでありつつ非常に柔らかく優しい音をしていました。御世辞ではなく本当にとても気持ちの良い音色でした。
ただ 暫く調律が空いていた為、約50セント近く(半音の半分ほど)下がっており、湿気による発音不良修理とペダル雑音修理もあり、更には整音…と少々大変な作業になりました。フジコさんからは事前に「やわらかい音色に…」とのオーダーを頂いていたのですが、「ん?コレより更に柔らかくするのか?」調律をしながら迷いに迷った結果、現状で最も柔らかい箇所の音を基準に全体のバランスを整える程度の整音に留めておきました。こんなにも綺麗で優しい音を更に丸くしてしまうのが勿体なく感じたからです。
フジコさんはコンサートでお疲れとの事でしたので、調律後の試弾をして頂くことも叶わず、お話も ご挨拶程度しかできなかったのが少し残念でした。
「後で弾いてみて再度整音のご希望があれば仰ってください」とだけお伝えして失礼してきました。
さてさて…私の判断(音色)はフジコ・ヘミングさんに認めてもらえるのか…今日からまた暫くドキドキワクワクが続きます。

◎フジコ・ヘミング 最新ベストアルバム
https://www.universal-music.co.jp/ingrid-fuzjko-hemming/products/uccs-1304/

フジコ・ヘミングさんとベヒシュタイン

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